結論:Claude Code Modsは「便利な設定」ではなく権限を持つコード

Claude Code v2.1.287以降のModsは、Claude Codeの見た目や動作を変えるプラグインです。利用者権限で動き、ファイルの読み書き、プロセス起動、ネットワーク、環境変数やセッションの閲覧に到達し得るため、企業ではインストール数を増やす前に、信頼元・検証結果・組織の許可範囲・停止方法を承認します。個人の試用と全社配布を同じ判断にしないことが最初の安全策です。

Anthropic公式のClaude Code changelogは、2.1.287でModsと組み込みの「You should know」を追加しました。公式のMods overviewは、Modがイベントを監視・書き換え・引き受けでき、UIを描画し、tool callやpromptを変更できると説明しています。既存のClaude Code権限設定やmanaged settingsの記事が通常の承認設計を扱うのに対し、本稿はModそのものを許可する前の判定に絞ります。

Mods、Hooks、Skills、MCPを使い分ける

仕組み主な実行場所選ぶ場面
ModClaude Code内部のJavaScript/TypeScriptUI、tool call、prompt、turnを観測・変更したい
Settings Hookシェル、HTTP、promptallow/deny、記録、既存スクリプトで制御したい
SkillClaudeが読む指示文業務手順や判断材料を再利用したい
MCP外部プロセス・サービスClaudeから外部システムのtoolを呼びたい

UIに専用のpaneを出したい、tool callを保留して人間に質問したい、sessionを横断して処理したい、という要件はModの候補です。一方、危険操作をdenyするだけならsettings hook、社内手順の共有ならSkill、外部データ取得ならMCPから検討します。実行範囲が広いModを、狭い要件のために選ぶ必要はありません。

インストール前に見るべき6つの到達範囲

  1. ファイル。ユーザーアカウントで読書きできる場所と、プロジェクト外の秘密ファイルへ到達しないかを確認します。
  2. 秘密情報。環境変数、設定ファイル、APIキーを読める設計になっていないか、ログへ出さないかを見ます。
  3. セッション。prompt、tool call、入力内容、他sessionへのメッセージを扱うかを列挙します。
  4. 変更。promptやtool callを書き換えたり、承認を経ずにtool callを実行したりしないかを確認します。
  5. 外部通信。ネットワーク先、送信データ、認証方式、タイムアウト、失敗時の挙動を記録します。
  6. 利用量。Mod自身がmodelを呼び、APIキーやプランの利用量を増やさないかを確認します。

公式ドキュメントはModがsandboxされず、Bashのsandboxを有効にしてもModが開始するプロセスはその外で動く場合があると説明します。したがって「ClaudeのBashを制限したからModも安全」とは判断できません。レビュー対象はModのコードと、Modが呼ぶAPIです。

企業導入を7手順で進める

  1. 利用目的を一つに固定し、UI表示、観測、tool制御のどれかを書きます。
  2. 配布元、marketplace、commit、担当者、更新通知の経路を台帳に登録します。
  3. コードを取得し、claude plugin validate ./対象ディレクトリを実行します。
  4. 出力されたhooksとcallsを読み、ファイル・プロセス・ネットワーク・model呼び出しを確認します。
  5. 秘密情報のない検証用repositoryで、通常操作、拒否操作、異常終了、更新を試します。
  6. managed settingsで利用可能な範囲を決め、利用者の持ち込みModを止めるか承認します。
  7. owner、ログ、期限、rollbackを記録し、少人数から段階展開します。

Modsは2.1.287以降で既定で有効です。個別のModを止める場合はInstalledタブで無効化またはアンインストール、一セッションだけ全Modを止める場合は--safe-modeを使います。全利用者に対してはmanaged settingsのallowManagedModsOnlyで組織管理のModだけを許可する設計が候補になります。設定変更後は、残りのSkills、MCP、Hooksまで意図せず止まらないかを確認してください。

組織ポリシーの比較と承認ライン

方針向いている状態追加条件
全員自由個人検証だけで、機密環境と分離している持ち込み禁止のデータ境界を明示
申請制試験は必要だが、利用者と環境を絞れるvalidate結果、owner、期限、停止手順
管理Modのみ企業標準の拡張を配布するmanaged settingsと更新レビュー
全面停止コードの出所やログを確認できない再評価日と代替手段を設定

最終承認者は開発責任者だけにせず、データ責任者またはセキュリティ担当を含めます。特にtool callの自動承認を行うModは、既存のdenyルールを上書きできる場合があるため、便利さの評価と安全性の評価を分けて記録します。

公開前チェックリスト

  • Modの目的と、Modでなければならない理由が一文で書かれている
  • 配布元、commit、更新者、依存plugin、撤去担当が分かる
  • validate結果のhooksとcallsを人間がレビューした
  • 秘密情報、prompt、tool call、ネットワーク送信の範囲を列挙した
  • sandboxがModのプロセスを隔離しない可能性を説明した
  • 個別停止、--safe-mode、組織停止の手順を試験した
  • 異常時の停止条件、rollback、再承認日がある

既存のplugin evalを使える場合は、動作の再現性を評価し、権限レビューと合格基準を分けます。MCPの導入ならClaude Code MCPのセキュリティ確認も参照してください。拡張の種類が増えるほど、許可・ログ・停止を一枚の台帳にまとめると担当者交代に耐えます。

FAQ

Modsは個人の開発環境だけなら自由に使えますか?
機密repositoryや会社のAPIキーへ到達できる環境なら、個人利用でも組織のデータ境界が適用されます。検証用環境を分け、許可された配布元と停止手順を確認してください。
既存のHooksをModへ移行すべきですか?
自動移行は不要です。UI描画や内部イベントの変更が必要な部分だけをMod候補にし、allow/denyや監査だけなら既存Hookを維持した方が範囲を狭くできます。
自社のMod導入条件を相談できますか?
できます。対象repository、扱うデータ、Modの到達範囲、承認者、停止条件を無料診断(60秒)で整理してください。

承認の記録には、Modの名前だけでなく、取得したcommit、validateを行った日、検証したClaude Codeのversion、許可したscope、次のレビュー日を含めます。marketplaceの名前が信頼できても、更新でコードが変わる可能性があるため、更新を自動適用するか、差分レビュー後に適用するかを決めます。利用者へは「何ができるか」だけでなく「何をしないか」も伝え、秘密情報を入力しないルールと異常時の連絡先を同じ場所に置きます。

本番repositoryで試す前に、空のrepositoryとダミーの環境変数で観測します。tool callを書き換えるModなら、拒否すべき操作が本当に止まるか、停止してはいけないread-only操作が継続するかを両方試験します。Modの出力が見えない場合は、利用者の操作ミスとModの未読込を分け、/pluginでsessionが読み込んだMod名を確認します。判断できない時は無効化して原因を保存します。

組織管理では、allowManagedModsOnlyを設定するだけで運用が完成するわけではありません。管理Mod自身の更新、持ち込みpluginに含まれるSkillsやMCPの扱い、managed settingsの配布失敗、オフライン端末の残存を点検します。Modだけを止めてもpluginの他の部品は残る設定があるため、必要な範囲と副作用をreadbackし、利用者へ変更を告知します。